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T.Ueda

電子機器と昭和歌謡を愛する理系大学生

雷インパルスに備えよ:ホームアレスタで「家まるごと」雷対策

日付:2022/09/07

1:「雷で家電が壊れる」は都市伝説ではない

雷で家電が壊れる

正直なところ「そんなことある?」と疑いたくなりますが、筆者宅では数年前に(断定はできないものの)複合機が電話線からの誘導雷で破損しましたし、今でも多くの研究者・電力関係者が日々雷と戦っているという事実もあります。

 「雷で家中の電化製品が壊れる」みたいな大惨事が発生する可能性も十分にあるわけですが、一般的な対策としては雷ガード付きタップを使うことくらい。しかし、この方法だと雷ガードタップを全ての機器に接続する必要がありますし、さらにエアコンや給湯器などの大型家電の保護は難しいという問題があります。

 そこで今回は、住宅用分電盤に設置することで家中の機器をまとめて雷から守ることができる、音羽電機工業のホームアレスタ HA-13を「ペーパー電気工事士」である筆者が設置してみたよという話です。

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 なお、「家中の機器」と言いましたがTVアンテナや電話線からも雷は侵入しますので、TV用アレスタなんかも併せて取り付けましょう。筆者も家にある全録機がぶっ壊れると高くつくので取り付けています(ACラインと同軸が同時に保護できて便利)。

注意
今回の作業には第二種電気工事士の資格が必要です。資格を取るより業者に依頼したほうが安いと思うので「別に電気工事はしたくないけど雷対策はしたい」という方は素直に業者に依頼しましょう。

2:「安全ブレーカーと同サイズ」の代償

 ホームアレスタHA-13は住宅用分電盤(コンパクトブレーカーじゃない、旧タイプのやつ)に取り付けるタイプのアレスタで、分電盤に取り付けるので1台で家中の機器をまとめて保護できるのが特徴です。
 「アレスタって何?」という話ですが、簡単に言うと雷によって発生する高電圧を吸収してくれる機器のことです。まあ要は雷による高電圧に対して「身代わり」となって他の機器を保護してくれる装置なわけで、発電所や変電所にも同様の素子が設置され、日々電力系統を保護しています。

HA-13

 で、このホームアレスタは従来型のブレーカーと同じサイズになっており「容易に」取り付けることができるのが特徴となっています(右にあるのは同時に設置したEV用ブレーカー)。単相3線の系統を保護する場合はL1・L2・Nの3つの端子に接続する必要があるためPanasonicの類似製品ではブレーカー2つ分のスペースを必要とするのに対し、HA-13はリード線で無理やりつなぐという構造のおかげでブレーカー1つ分のスペースに取り付けが可能、しかもPanasonicより安いというわけで筆者は迷わずこちらを選択。

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 なお、最近の家に多いコンパクトブレーカー向けの避雷器はPanasonicが発売しています。こっちは文字通り「差し込むだけ」で簡単そう(資格はもちろん必要ですが)。

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アース配線

 また、複数個所からアースがとられていると保護機能が低下しますので、取り付けを検討する際は必ず集中アースになっている(アース配線が一か所にまとめられてから一点のみで地面に接続されている)こと、特に室外機や給湯器などの屋外機器から個別にアース線が地面に刺さっていないかを確認しましょう。筆者宅は分電盤にアース端子はないものの、どうやら分電盤裏でアースをまとめているようで、しかもご丁寧にアース線を前面に引き出してくれていましたので簡単に接続できました(何のために?)。

 というわけでいよいよ取り付け。当然ですがブレーカーの交換を行う場合は主幹ブレーカーを落とす必要があるため家まるごと停電します。したがって冷蔵庫内の食品を守るするために短時間での施工が要求されますが、同時に感電やショートなんかの事故を起こしたら怒られるどころじゃ済まない(最悪、ご近所もろとも停電したり死亡事故につながったりする)ため丁寧な作業も要求されます。

工具

 そこで、分電盤横に使用する工具・部材を並べてから作業にとりかかることに。今回は、EVコンセント用ブレーカーの設置作業と同時に行いました。

 時間的余裕がなかったので作業中の画像はありませんが、だいたいこんな感じ。

  1. 検電ドライバー動作確認
  2. 主幹ブレーカーオフ
  3. L1・L2・N各相放電確認(重要)
  4. 既存ブレーカー撤去(使っていないエアコン専用回路を潰した)
  5. EV用ブレーカー設置(ついでに)
  6. ホームアレスタ取り付け
  7. アース端子にアースを接続
  8. L1送り配線接続
  9. 配線の目視確認・テスターでの接続確認
  10. 主幹ブレーカー投入・LED点灯確認

特に感電事故は避けたいので作業開始前に検電ドライバーの動作を確認し、主幹オフ後に必ず異なる箇所で合計2回以上の放電確認を行いました。さらに、脚立にのぼっての作業であることに加え(想定はしたくないですが)万一感電してはじき飛ばされた際の安全確保もかねて保護帽を着用。

で、ここまで準備したから順調…かと思いきや想定外のことが発生するのが現実。

ホームアレスタHA-13 L1送り配線

 EVコンセント用ブレーカーの設置は簡単でしたが、特に苦労したのがホームアレスタのL1送り配線の設置。分電盤をいじった経験がないのでそもそもどこがL1かわからないですし、わかったところで送り配線が短い・端子周辺が狭いという理由で取り付けはかなり困難でした。最終的にはけっこう無理やりに付けましたがなんか不安な感じに。

銅バー取付ねじ

 極めつけには「ネジは分電盤付属のものを使ってね」と取説に書かれているにも関わらず余りのネジは見つからない始末。どうしようかかなり悩みましたが停電時間をこれ以上のばせないというわけで最終的には使用していない回路からネジを奪い取ってくることに。「ブレーカースペース1個分」なのが特徴なのに2回路も潰してしまったわけです…

SPD インジケーター

 いろいろあって20分くらいかかりましたがなんとか取付完了。主幹ブレーカーを投入し、LEDの点灯を確認して電気工事は終了です。そのあとは普段はカバーの下で見えないにもかかわらずネームラベルで分電盤内に絵文字をちりばめて遊びました。
 まあ「そもそも効果はあるのか?」という話ですが、SPDは電力系統で頻繁に使われているので一定の効果はあると期待したいです。

 というわけで次回「EVコンセントを真面目に施工してみた」に続く。