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昭和歌謡好き大学生の雑記
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T.Ueda

電子機器と昭和歌謡を愛する理系大学生

オシロスコープのエンコーダー動作不良を修理する

日付:2021/05/09

1:「運」に任せてノブを回す

DSO1072B 外観

 「ホンモノのオシロスコープが欲しい」ということで筆者が中学生の時に購入し、8年ほど使用しているAgilent(現Keysight)のオシロスコープDSO1072B。一流メーカー製(RIGOLのOEMかもしれませんが)ということで品質には期待していましたが、最近になってノブを回しても正しく反応しないことが増加してきました。右に回し続けても左回転に認識されるといった感じで、最終的には「運」に任せてノブを回しまくって欲しい値になることを願うみたいな状況になってしまいました。そこで、分解してロータリーエンコーダー部分を清掃することにしました。

2:「真面目な」基盤レイアウト

スタンド横ネジ

 というわけで、早速分解していきます。まずは下部のスタンド横についているネジ(左右2本)を外していきます。ネジはトルクスでした。

ハンドル部 ネジ

 次はハンドル部のネジ。これがハンドルの付け根部分にあってめちゃくちゃ外しづらかったです。ラチェットレンチ+エクステンションバー+トルクスビットで無理やり外しました。

電源コネクタ部 ネジ

 外側に付いているネジはこれで電源コネクタの横の、いかにも「これ外してね」みたいな感じの2本のみ…なんですが、これが裏側でナットで留まっていて外側から外すのが困難な代物でした。周囲についているプラスチック部品を外せばこれを外さなくてもいいんですが、この部品も裏側から挿入されていて全然外れない。仕方ないのでネジの頭を引っ張りながら回して無理やり外しました。これって製造時にどうやって組み立てたんですかね。

内部基盤 俯瞰

 後は電源スイッチを引っこ抜けば簡単にリアカバーが外れました。そして、ネジ二本で留まっている内側の金属製のフタを外せばやっと基盤を拝めます

電源基盤

 折角なので内部も見ておきましょう(そんなのはいらんという方はこちらへ。予想通り内部はスッカスカですが、まずは電源部から。個体コンデンサこそ使われていませんが使用されている電解コンデンサはニチコン105℃品。そして、デカいアースネジが印象的です。

メイン基板

 次にメイン基盤。こっちは下部にあるため割とホコリっぽい。ALTERAのFPGAや、ビープ音を出すブザーとかが載っています。そして、USBダウンストリームポートの横にはシリアルコネクタのパターンのようなものがあります。それ以外にも未使用のヘッダー・パターンが多数あるので多くの機種で同じ基盤を共用しているようです。

UPS051 LCDコントローラ

 メイン基盤をよく見ると「UPS051」と、めっちゃ安っぽい文字で品番が書かれたICがありましたが、これはどうやらLCDコントローラらしい。

DAC周辺

 そして、心臓部であるDACはもちろんシールドされていて、更に制御部との間はフォトカプラでアイソレーションされているようです。この辺は「さすが計測器」って感じです。

レギュレータ 実装

 というわけで、なんか端のほうでレギュレータがすごい角度でつけられていること以外は教科書通りな非常に真面目な実装がされているという印象でした。なんか、これで5万円ちょいって安く感じます。

3:困ったときの「CRC エレクトロニッククリーナー」

ツマミ 取り外し

 基盤の観察は終わりましたが、分解はまだ続きます。続いてはフロントのノブを全て取り外します。これは力づくで引っこ抜くだけですがかなり固かったです。

フロントパネル 基盤

 フロントパネルは裏側からネジ2本で留まっているので、それを外すとやっとノブの下にあるロータリーエンコーダにアクセスできます。ロータリーエンコーダーを交換すればいいんですが、それは流石に面倒なので…

呉 エレクトロニッククリーナー

困ったときの「CRC エレクトロニッククリーナー」です。これは精密機器用のクリーナーで、電子機器にも安心して使用できます。一般的なパーツクリーナーよりもやや高価ですが、オシロを壊したくないのでこちらを使用。ハンダ付け後のフラックス洗浄にも使えて何かと便利です。とりあえず基盤全体を洗浄+エンコーダーに吹きかけながらツマミを回してエンコーダー内部を洗浄という作業を行いました。

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動作確認

 そして、仮組みで動作確認→組み立てを行いました。結果、直りました。きちんんとノブを回した方向に動作してくれるようになりました。これでまた快適な「オシロスコープのある暮らし」を復活させることができました(久しぶりに修理に「成功」したような…)。